大阪ダブル選挙、争点の1つに地下鉄民営化と敬老パスの問題。
2015/11/12
11月22日に投開票される大阪府知事・市長のダブル選挙ですが、争点の1つ
となっているのが、「地下鉄民営化」です。
地下鉄民営化そのものは、大阪都構想とは直接は関係ないのですが、間接的に
いえば、大阪都構想の住民投票で賛成派が勝った場合、敬老パスの廃止も検討
されていただけに、全く大阪都構想とは関係ないとも言い切れない問題ではあ
ります。
ここで、「敬老パス」と「地下鉄民営化」の中身と、この問題についての候補
者の主張を見ていきます。
AD敬老パスとはどんなものか?
大阪市における敬老パスは1972年に導入され、以降乗車料金を市が全額負担す
るという制度が40年近く維持されました。
2013年に橋下市長が交付手数料という名目で、年間で3000円の徴収、2014年
には1回の乗車で50円を支払う制度「ワンコイン」を導入しました。
その結果・・・2012年に負担額が81億5000万円だったのが、2014年には約
61億6000万円に減少しました。その一方で2012年の敬老パス交付率は74%だ
ったのが、2014年には55%に減っています。
この問題について維新・吉村氏は
1、利用負担は今後も維持する。
2、限られた財源は困った人に配分しバラマキにはしない
と主張しています。
一方の自民・柳本氏は、
1、現在の50円負担を廃止する。(年間負担3000円は維持)
2、利用上限額の設定や支給年齢の引き上げで財政問題に対応する。
と主張しています。
敬老パス有料問題は過去には関元市長や、平松前市長も有料化を目指し
ていたものの、いずれも議会からの反発でうまくいかなかった経緯もあ
り、橋下市長の手腕および、問題のデリケートさが感じられます。
地下鉄民営化問題はどうするのか?
地下鉄民営化は過去2度にわたり否決されていましたが、10月23日に大阪市営交通
関連条例が可決されました。ただしこの条例は民営化へかじを切る条例ではあるも
のの、路線計画などの基本方針を議決で決めるというもので、民営化のプロセス等
が今回の市長選の争点になっています。
この地下鉄民営化に対する両候補者の主張ですが、維新・吉村氏は
1、経営権と施設所有権、両方を市が100%出資する株式会社に移し
た上で、将来的に株式を上場し完全民営化を目指す。
2、バス事業に関しては、高齢者の移動に不可欠な事情を配慮し不採
算路線に関しては、市が支援する。
としています。
対する自民・柳本氏は、
1、地下鉄事業を市が100%出資の株式会社に移すところは維新と主張は
同じですが、経営権と施設所有権は分離する。
2、完全民営化には慎重で、民間の鉄道会社の協力や賛同を得る。
3、バス事業に関しては、地下鉄の駅と住宅地を結ぶ「地下鉄の支線」の役割
を持たせた上での黒字化を目指す。
としています。
地下鉄民営化に関しては、さほど大きな主張の差はないようにも思えますが、
敬老パスについては、1回の乗車50円の負担が70歳以上の人やその年齢に差し
掛かろうとしている人にとってどう投票に影響するのか、気になる所でありま
す。
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