過労死等防止対策白書から日本の労働時間等の統計を見る。英語では?
2016/10/12
厚生労働省が「過労死等防止対策白書」なるものを作製していますの
で、今回はこの白書を元にいくつかの内容を拾ってみたいと思います。
以下のデータはすべて「過労死等防止対策白書」によります。過労死は
英語で「death from overwork [overworking, excessive work]」「fa
tigue death」「overwork death」「stress death」といくつかあるよう
です。
年間の自殺者は25000人を切る。
まず全体における年間での自殺者ですが、1997年に24391人だった自殺者は
1998年に32863人と急激に増え一気に3万人台に乗りました。当時は消費増
税や金融危機などがあり、経済が混迷を極めていた時期です。その後2003年
の34427人をピークに自殺者は少しずつではありますが減少していきます。
広告2011年以降では、
2011年 30561人
2012年 27858人
2013年 27283人
2014年 25427人
2015年 24025人
となっており、2015年の24025人というのは1987年もしくは1997年の水準
にまで下がっています。2011年以降の被雇用者・務め人の自殺者は
2011年 8207人
2012年 7421人
2013年 7272人
2014年 7164人
2015年 6782人
となっていてこちらも少しずつではありますが、減少傾向となっています。
勤務問題を理由とした場合の自殺者数の経緯ですが、
年度 仕事疲れ 職場の人間関係 仕事の失敗 職場環境の変化 その他
2011年 723人 657人 471人 359人 479人
2012年 689人 572人 441人 315人 455人
2013年 649人 539人 438人 303人 394人
2014年 685人 505人 404人 274人 359人
2015年 675人 447人 388人 275人 374人
となっていて、こちらも全体の自殺者同様数は減っているものの、仕事疲れに関して
は労働環境などで高い水準にあります。
広告脳や心臓疾患の労災請求件数の多い職種は?
次に脳や心臓疾患の労災請求件数の多い職種を見ていきますと、2015年度では
このような結果となっています。見方は「職種(大分類)・職種(中分類)・
件数()の数字は女性」となっています。
1、運輸業、郵便業・道路貨物運送業・ 133(3)
2、建設業・総合工事業・48(0)
3、サービス業(他に分類されないもの)・その他の事業サービス業・45(8)
4、宿泊業,飲食サービス業・飲食店・38(6)
4、建設業・職別工事業(設備工事業を除く)・38(0)
6、運輸業,郵便業・道路旅客運送業・30(0)
6、卸売業,小売業・その他の小売業・30(9)
8、建設業・設備工事業・25(0)
9、医療,福祉・社会保険・社会福祉・介護事業・22(13)
10、医療,福祉・医療業・20(8)
運輸業、郵便業の中で道路貨物運送業が一番脳や心臓疾患の労災請求件
数の多い職種として他を大きく引き離しています。やはり自動車を運転
する事と時間が不規則による健康へのリスクが大きい結果となっています。
運輸業、郵便業については6位に道路旅客運送業が入っており運転による
身体の負担が大きい事がわかります。
運輸業、郵便業・道路貨物運送業の133(3)件の内、実際に労災請求の支
給決定件数は82(2)件で、2位の建設業・総合工事業の48(0)件の内
支給決定件数16(0)件の実に5倍以上に当たる件数となります。
職場環境は人口減少や景気の影響などで職種により厳しい労働環境が続い
ており、解決は容易ではないようです。
就業者の脳血管疾患、心疾患等による死亡者数は?
では働いている人の脳血管疾患、心疾患等による死亡者の数はどれぐらいな
のでしょうか?2010年度は30353人とされていて10年前の50219人に比べると
約4割の減少となっています。2010年度で見た場合年齢別では
15~19歳 8人
20~24歳 48人
25~29歳 148人
30~34歳 298人
35~39歳 604人
40~44歳 936人
45~49歳 1431人
50~54歳 2036人
55~59歳 2949人
60~64歳 3550人
65~69歳 2774人
70~74歳 2757人
75歳以上 12813人
となっていて、病気のリスクが高まりやすい45歳後半からがやはり多くな
っています。しかしながら25歳以上からの数字が段違いに増えているのは、
就業者数の数から見れば増える事自体は自然とも思えるのですが、年齢を
重ねるにしては増え方が若干多き過ぎるような気がするのですが、どうな
のでしょう。
職種別で見た場合は農林漁業従事者が最も多く6457人で、次いでサービス
職業従事者の3974人、専門的・技術的職業従事者の3710人、販売従事者の
3187人でこれらで約半数以上を占めています。
産業別だと製造業が最も多く1276人、次いで産業不詳で1110人、建設業
で955人、卸売業・小売業で772人運輸業・郵便業で708人となりこれら
が半数以上を占めています。産業不詳というのはジャンル別ではくくれない
という事でしょうか?
年平均労働時間は欧米に比べても多い方で2014年はアメリカの1800時間
あまりに次いで1750時間前後となっていて、フランスやドイツでは1400
時間を切っており、日本の労働時間が多いかを示すものですが、それでも
20年前と比べると150時間程は減少しており、単純に労働時間の長さと
過労死が関連付けられるかといえば、そうとも言えない見方もできるかと
思います。
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