曙ブレーキADR申請。社長は取引銀行とトヨタに支援か。株価に注意?
マクラーレンに部品供給をしていた曙ブレーキ工業が、1月30日に事業
再生ADRを申請したという事なのですが、一体何があったのでしょうか?
曙ブレーキ工業が事業再生ADRを申請
F1チームのマクラーレンやWECのトヨタ・ガズー・レーシング等に部品
供給してきた曙ブレーキ工業が1月30日、私的整理の一種である「事業再
生ADR」を第三者機関に申請し受理されたとしています。今後は取引金融
機関に資金繰り支援を求めるという事です。
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銀行やトヨタに支援を求めるようですが、トヨタは2018年9月末時点
で曙ブレーキの株を11.62%保有している関係があるので、支援を求
める可能性は高そうですが、トヨタ側は現時点での増資要請を受けた
とする一部報道を否定しています。一方でみずほ銀行が事業再生ADR
の活用により、運転資金として50億円を上限とする融資枠を設けると
の報道もあります。
曙ブレーキ工業が事業再生ADRを申請した要因として、
米国自動車メーカーのセダン撤退や2014年の生産混乱に起因した
ゼネラル・モーターズ(GM)の次期モデル向けブレーキ製品の失
注などで業績が悪化していた。30日、曙ブレーキ工業の担当者は
東京商工リサーチの取材に応じ、「取引金融機関に29日付で(金
融債務返済の)一時停止を通知した。通知した国内金融機関は30
行以上にのぼる」とコメントした。
以上。東京商工リサーチソース。
となっています。ただ、曙ブレーキは債務超過だったわけではなく、
資金繰りに苦しかったわけでもないのですが、2019年1月初旬に地
方銀行が債務の返済を曙ブレーキに強く迫ったのが要因となりまし
た。
各地方銀行はゼロ金利政策により貸付環境が厳しいので、曙ブレー
キが求めていた債務返済の延長は無理と判断されたのでした。曙ブ
レーキは約30の地方銀行と取引があり、それらすべてが債務の返済
を求めてきた場合、曙ブレーキの資金繰りが一気に悪化するので、
しかたなく曙ブレーキはメインバンクと協議した結果事業再生ADR
を申請せざるを得ない状況に追い込まれたのです。
帝国データバンク調べでは曙ブレーキ工業グループの「一次下請先(仕
入先)」は全部で282社あり、さらに「二次下請先」が2500社あるとし
ており、下請企業は全国で合計2782社存在し、一次下請先と二次下請先
の総従業員数(非正規社員を除く)は16万5119人いるとしています。
一次下請先、二次下請先の合計は都道府県別で東京都が598社(構成
比21.5%)でトップとなっていて、2位が埼玉県の333社(同12.0%
)、3位が大阪府の241社(構成比8.7%)となっています。
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一次下請先、二次下請先の合計
順位 | 都道府県 | 社数 合計 | 構成比 (%) | 一次 下請先 | 構成比 (%) | 二次 下請先 | 構成比 (%) |
1 | 東京都 | 598 | 21.5 | 65 | 23.0 | 533 | 21.3 |
2 | 埼玉県 | 333 | 12.0 | 59 | 20.9 | 274 | 11.0 |
3 | 大阪府 | 241 | 8.7 | 10 | 3.5 | 231 | 9.2 |
4 | 岡山県 | 190 | 6.8 | 27 | 9.6 | 163 | 6.5 |
5 | 愛知県 | 156 | 5.6 | 6 | 2.1 | 150 | 6.0 |
6 | 神奈川県 | 145 | 5.2 | 12 | 4.3 | 133 | 5.3 |
6 | 広島県 | 145 | 5.2 | 8 | 2.8 | 137 | 5.5 |
8 | 群馬県 | 116 | 4.2 | 18 | 6.4 | 98 | 3.9 |
9 | 長野県 | 91 | 3.3 | 7 | 2.5 | 84 | 3.4 |
10 | 栃木県 | 85 | 3.1 | 9 | 3.2 | 76 | 3.0 |
帝国データバンク調べ。
F1やWEC等のモータースポーツ活動については今後何等かの発表がある
と見られています。あと東証が1月30日に事業再生ADRに関する不明確な
報道があるとして曙ブレーキ工業の株式に注意喚起を実施すると発表して
います。
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